世の中には、一体だれの為に作ったのか、と思うような説明や表現があったりしますが、今までは自分に知識がないから理解出来ないんだろうと思い、我慢していました。
しかしこの本を読んで、その考えが間違っていたこと、相手に正しく伝えるためには、相手が誤解しないで正しく理解できるように、分かり易く伝える義務があることを理解しました。
電気製品の保証書や各種保険の契約書、税務署などから送られてくる書類など、何回読んでもチンプンカンプン、一体何が書かれているのか全く理解できない、ということがたびたびありますが、そもそもこの手の書類は、相手に理解してもらおうなどと思っていないのではないかと感じられます。
この本では、まず第1章で、交通標識や駅の案内板など、分かりにくい表現の実例が次々と提示され、なぜ分かりにくいのか、分かりやすくするためにはどう表現したら良いのか、がとても分かりやすく説明されています。
その中で、特に交通標識などは交通事故につながる可能性もあるため、他の解釈を許さない表現にしなければならないとありましたが、全くその通りだと思います。
第2章では「分かりやすい」とはどういう事かについて、これもとても分かりやすく説明されています。著者が、なぜわかりやすさにこだわるのか、それは学生時代にコンピューターによる人口知能を研究したことがきっかけだったことが綴られています。
さらに第3章で分かりにくさの原因について説明、第4章では分かりやすい表現のポイントがまとめてあります。
かつては、わかりにくいことに価値があるかのように思われ、それが通用した時代がありましたが、今やそのような見せかけは通用しなくなりました。
自分の伝えたいことを的確に正確に伝える、そのノウハウがこの本には詰まっています。